LABEL : Virgin Babylon Records
CATALOG : VBR-022
FORMAT : CD + WAV
PRICE : CD¥1700(incl tax) / DATA(badcamp) 7USD


Giant Claw
DARK WEB

01: DARK WEB 001
02: DARK WEB 002
03: DARK WEB 003
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アメリカ/オハイオのアーティストGiant Clawの最新作"DRAK WEB"が
Virgin Babylon Recordsより2014年12月7日にリリース。

"DRAK WEB"はGiant ClawことKeith Rankin自身が主宰するOrange Milk Recordsより
Bandcampリリースされ、瞬く間に2014年を代表するアルバムとして話題となった。
インターネット世代へ捧げるセラピー・ミュージック、
Oneohtrix Point Never × Prince × Juke/Footwork等とも評され、
まさに現代に響くべき最高の音楽です。

CD予約購入者にはデータ先行配信。

MUSIC VIDEO: Giant Claw - DARK WEB 003



Giant Claw - DARK WEB ライナーノーツ:

「ヴェイパーウェイヴ以降の成仏できなくなった音たち」

 ソーシャル・ネットワーキング・サービスが普及しだしたとき巷でささやかれたのが「死んだ人間のアカウントはいつまで残るのか」という疑問であった。勿論、親戚や友人が削除依頼を出せば消せるはずだが、実際のところすべてがそういうことになるはずもないだろう。とすると、今も現存するアカウントの中には幾らか持ち主がすでに他界しているものがあるかもしれない。持ち主が生を失くしても、ライフログとしてパーソナルな情報の一部が投影されていた仮想の自分=アカウントはヴァーチャル空間上でふわふわと浮遊し、ただそこに存在し続ける。現実の死は単なる終わりではない、肉体が機能を失ってもログ(=言葉、魂)は永遠である。そうした思想めいたものがソーシャル・ネットワークにはあった。というか、ある。
 他方で、ソーシャル・ネットワークのもうひとつの思想は無論「繋がり」である。繋がりとは言えど、とある社会学者の言葉を借りるならば、それは「分断されたシチュエーションの生成」に他ならないわけで、繋がろうという関係性の構築プロセスが生まれた時点で仮想的に分断された個要素が”後付け”で定義される。だから「繋がり」は無限に作れる。それがどんなに距離の離れたものであっても、どんなに時系列を飛び越えていてもソーシャル・ネットワークないしインターネットは「繋がり」を可能にした。この「繋がり」のゲームがいかに終わりの無い無限のシステムなのかはそうした構造からもわかる。現実に即した関係性でない限りこのシステムは虚構のみを生み出す気さえする。
 しかし、こんなことを書きながらもその「壮大な虚構」を演じることに全力で身を投じている筆者自身がいるが、しかしながら、もはや最近は生身の肉体よりもヴァーチャルなアカウントの方によりリアルを感じているため、現実と虚構が交錯した不思議な生活を送っている。今生きているのは果たしてどちらの世界なのだろう。

 ジャイアント・クロウ『ダーク・ウェブ』はそうした現代の肌感覚のもとに生まれた作品である。
 このアルバムで使われる音はすべて過去に聴いたことのある「一度は死んだ」音だ。R&Bのアカペラのチョップ&スクリュー、クラシックなゲームの起動音のサンプリング、オーケストラ、ガラケーリヴァイヴァル・・・一度は死んだ音を蘇らせ、現在の情報化社会の中で悪戦苦闘する我々にさらに追い討ちをかけるように「スパム」をぶつける行為、それはまさしく嘗てのヴェイパーウェイヴのテロリズム性と等しい。深夜のネット・サーフィンに勤しむ行為を「不思議の国のアリス」に擬え、セガ・サターンにインスパイアされたというレトロなコンピューター・グラフィックスによる無限回廊を永遠に彷徨い続ける悪夢のような「DARK WEB 003」のミュージックビデオは、「自室」で完結する現在のネット音楽文化を自己批評を交えて我々に問いかけてくる。あなたが生きているのは現実なのか、虚構なのか。それとも・・・。
 音というのは普通、作者に意味を与えられることで存在する。「気持ち良くするため」「不安にさせるため」「踊れるように」「叫べるように」。しかし『ダーク・ウェブ』の音には意味を感じない。むしろ、『ダーク・ウェブ』は以下の事を伝えようとしているだろう。
 「この世に生まれた音は、永遠に再生されることとなる」
 「音は増殖し、私たちの脳を侵蝕する」
 「全ての音は結び付き、脈絡なく混じり合う」
 このウイルスのような『ダーク・ウェブ』思想がここ日本でもリリースとなったというのは、ある意味では可能性を感じることだが、またある意味では非常に恐怖である。なにかしらのパンデミックでも近づいているのだろうか・・・そんな妄想をしながら、最後にアルバムジャケットを見てこの作品への寄せ書きを締めたいと思う。

 蝋燭、フラスコ、フリップ式携帯電話。そして西洋の石像――歴史と権威の偶像に、ドロドロとした”オレンジミルク”が垂れている。


荻原梓(Twitter: @az_ogi)

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